ピアノのお月謝はいくらぐらいが普通?

ピアノのお月謝の金額は、ピアノ教室によって異なります。町の音楽教室か、個人宅でのピアノレッスンかでも違います。しかし最大の違いは、その先生がどれくらい専門性の高い生徒を教えられるかによると思います。極端な話、音楽大学の教授が個人レッスンをしていればワンレッスンが数万円でしょう。音大教授に匹敵するレベルの先生なら同程度だと思います。ピアノの先生は国家資格が必要なわけでもないので、極端な話、音楽大学を卒業していない、専門的にピアノを高等教育機関で習ったことが無い人でも開業することは可能です。クラシックはともかくとしてポピュラーピアノはジャズピアノであればそもそも音楽大学で学べないので、音楽大学を出ているかどうかは問われにくいと思います。

音楽大学を出ている場合でも、ピアノを専攻した人がピアノの先生になっている場合と、専攻はフルートやヴァイオリンやクラリネットなど別の楽器で、副科でピアノをやっていただけという場合とがあります。ピアノの腕前ということでいえば天と地ほどの差があるはずですが、習う側の生徒としては案外、そこにこだわることが少ない人も多いようです。3歳の子供にピアノを習わせたい親にしてみればピアノの先生の実力よりも子供に対して優しい人柄かどうかを気にするからでしょう。

ピアノのお月謝というのは何十年間も不思議なことにかわっていません。バス代や銭湯代などが過去数十年の間に何倍にも値上がりしたというのに、ピアノの月謝はほぼ変化ないのです。なんとも不思議なことです。自分は昔(何十年も前)、ヤマハでエレクトーンを習っていたのですが、小学校5年ころにグループレッスンで月謝が8000円でした。ピアノを25年くらい前に町の音楽教室でならっていたときは、月謝が1万円ちょっとでした(30分レッスン、月3~4回)。場所が東京か田舎かでも相場が違う可能性があります。ピアノのお月謝は、ピアノの先生の実力差に比べると、金額の差がおどろくほど小さいと思います。そもそもピアノを初めて習う人はピアノの上手い下手の違いが全くわからないため、ピアノの先生を実力で選ぶというのは不可能です。また、町のピアノ教室で先生が複数いる場合に、どの先生が上手かということは情報として与えられません。ほとんど博打でしかありません。

子供が何人もいる家庭ではお稽古事や塾などに通わせるのに毎月何万円もの出費になるため、高い月謝だとピアノを習わせられないという切実な事情もあります。なのでピアノ教室を開く側としても、ピアノの先生の実力が高いから高い月謝を設定すると生徒が集まらなくてビジネスがたちゆかなくなります。生徒と先生とのマッチングが非常に難しいのがピアノのお稽古ということになります。

いい先生にピアノを習いたければ、ピアノを子供に習わせる親が耳が肥えているか、ピアノを習いたいのが成人であれば自分がピアノを聞く耳をもっていないといけません。そして、習おうとしているピアノの先生の演奏を何等かの機会に聞いてみることです。ピアノの発表会で講師演奏をしていることがよくあります。最近はそれをYOUTUBEにあげて公開している例も少なくありません。人によっては演奏活動を行っていてその動画がYOUTUBEで視聴できることもあります。そうやって自分が習いたいと思えるピアノの先生を見つけられたら、実際のところ月謝が高いか、高すぎるかということはあまり問題にならないのではないかと思います。

ピアノの月謝は、初心者も音大受験生も一律という先生もいれば、音大受験生だけ月謝数万円、あるいは練習する曲の難易度が高くなれば月謝もあげていくという先生もいます。ヤマハは後者の典型で、グレード何級というのがどんどんあがっていくたびに月謝も上がっていくシステムでした。エレクトーンを習っていた自分の場合、13級から12,11,10,9,8,7級と上がっていきました。級があがっても何も嬉しいことはなく、月謝がどんどん上がっていくのが子供ながらに心配でした。

ピアノの先生によっては街の音楽教室で教えるかたわら自宅でもレッスンをしている場合があります。その場合は自宅のレッスンのほうが高めに月謝を設定することもあるようです。音楽教室だと教室の経営判断で月謝がきまり、しかも生徒が支払う月謝の一部(会社によってはかなりの割合)が音楽教室に入るので、ピアノの先生が手にする金額はずっと少なくなります。ちょっと考えれば明らかなことですが、ピアノの先生をビジネスとして行うのであれば、月謝を低く設定すると、仮に生徒さんがたくさん来たとしても収入には上限があります。人間に与えられた時間は限りがあるので当然です。そうなると、生徒側からみるとかなり高いと思われるような月謝に設定したとしても、ビジネス的にはあまり大きな成功はできません。